プレコンセプションケアとは? 企業が取り組む意味とメリットについて解説!

PreConception Care Health Tip

はじめに

「結婚も子供も作らない」選択をする人も増えている現代社会において、「妊娠前のケア」とは一体何なのかご存じでしょうか?

実は今、政府が後押しする新しい取り組みとして「プレコンセプションケア(略してプレコン)」という概念が注目を集めています。卵子・精子の凍結費用を企業が貸し付けるケースも珍しくなくなりました。

この記事では、「プレコン」とは何か、なぜ政府が企業に求め始めたのか、実際に取り組んでいる企業の事例などについて、わかりやすく解説します。

プレコンセプションケア(プレコン)とは?なぜ今注目なのか?

「妊娠前の女性とカップル」向けのヘルスケアシステム

WHO(世界保健機関)の定義では、プレコンセプションケアとは「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」を指します。英国やオーストラリアなどでは公的保健政策の一環として既に導入が進んでいますが、日本では認知度はまだ低いのが現状です。

少子化対策としての新たな切り口

こども家庭庁は5カ年計画をまとめました。これは単なる「妊娠準備」ではなく、性別を問わず将来の妊娠・出産を見据えて性や健康に関する正しい知識を身に付けることを目的としています。重要なのは、「妊孕性(にんようせい)」という言葉です。これは「妊娠するための力」を指します。つまり、現在の生活習慣や健康状態を整えることで、将来的な妊娠の可能性を高めるのです。

政府が80%の実施率を目指す背景

この5カ年計画では驚くべき目標が掲げられています。「経済産業省が実施する健康経営度調査の回答企業において、プレコンに関する取り組みの実施率を80%まで高める」という目標です。

少子高齢化の深刻化や低出生体重児の割合増加といった課題に対応すべく、政府は企業にもプレコン推進役を期待しているのです。

企業のメリット・デメリット

企業にプレコンを入れる場合、以下のようなメリットがあります:

  • 人材採用の際のアピールにつながる
  • 社員の健康と福祉を向上させる
  • 働き方改革や社員のエンゲージメント向上につながる

ただし、反対にも「産まない選択をした人に肩身の狭い思いを強いるリスク」があることは注意が必要です。まずはプレコンに対する理解を深める必要があると言えます。

実際に企業が取り組む具体的な事例3選

1. JTBの取り組み:医療費貸し付けと休暇制度拡充
旅行大手のJTBは、2024年8月に社内制度の対象に「卵子・精子凍結」を追加しました。

詳細条件:

  • 貸し付け上限:120万円
  • 返済期間:5年
  • 返済方法:給与天引き60回を原則
  • 申請理由:妊娠・出産に備えた卵子・精子凍結の費用に対して無利子で貸付可能
  • 休暇制度の拡充

同年10月には、生理休暇の枠組みを広げる形で以下の追加を行いました:

  • 月経前症候群(PMS)
  • 性別適合手術不妊治療の通院
  • 有給休暇取得は月1カ月当たり2日まで

なぜJTBが取り組むのか?DEIBチームマネージャーの芦原真由美氏は、以下の理由を挙げています:

「修学旅行や団体旅行に帯同する添乗員など、当社では不規則で体調管理が難しい職種が少なくない。社員が長く働ける環境づくりは喫緊の課題だった」

2. ユニ・チャーム:企業向け妊活研修の提供
ユニ・チャームは、生理用品ブランド「ソフイ」をきっかけに学校や職場向けの生理研修を提供してきました。その知見を生かし、2025年4月から企業向けの「妊活研修」を開始。

  • 既に研修を実施した企業:60社以上
  • 現在も複数社から申し込みあり
  • 年内の予定は埋まりつつあるという

なぜユニ・チャームが取り組むのか?グローバルフェミニンケアSBUマーケティング本部長代理の長井千香子氏は以下のように指摘しています:

「社員が安心して働き続けられる会社であることが、人的資本経営の観点からも、競争力の観点からも重要になる。プレコンは、その基盤を支える取り組みの一つになり得る」

3. プレコン導入の一般的な方法・手順
企業がプレコンを導入する場合、以下のステップがあります:

  • 情報提供 – プレコンの概要とメリットを従業員へ伝える
  • 研修実施 – 生殖健康や不妊治療についての知識を広める
  • 福利厚生への反映 – 卵子・精子凍結費用補助などの制度整備
  • 相談窓口設置 – 専門機関へのつなぎ役となる

ユニ・チャームからのアドバイス
「企業の競争力の観点からも、プレコンは重要な基盤です」と長井氏は述べています。既に60社以上の企業で実施実績があることから、導入のハードルは下がっています。

プレコン支援に関する補足情報・注意点

専門用語の意味をわかりやすく解説

  • 卵子凍結:生殖能力を未来に保存するための処置
  • 精子凍結:男性側の同様の機能を提供するもの
  • PMS(月経前症候群):生理前の体調不良や精神的不調
  • 性別適合手術:出生時と異なる性同一性を認めるための医療

専門的になりすぎない補足

プレコン支援は社員のライフプランに寄り添い、多様な選択を可能にするための基盤となります。ただし、「産まない選択をした人に肩身の狭い思いを強いるリスク」もあります。

「仕事の感覚」で考えると:

  • プレコンに対する理解を深めることがまず必要
  • 企業はこうした課題に対応する程度まで関与すべきか検討が必要
  • 各社の反応と対応は異なる可能性あり

データのポイント

  • 項目 JTBの場合 ユニ・チャームの場合
  • 開始時期 2024年8月 2025年4月
  • 実施企業数 – 60社以上
  • 貸付限度額 120万円 –
  • 対象内容 卵子・精子凍結 妊活研修
  • デメリットと課題
    >「産まない選択をした人」への配慮が必要
    >  プレコンの認知度はまだ日本では低い
    >  少子化対策として見られる可能性によるプレッシャー

まとめ:仕事に関する気づきと人生への示唆

「妊娠前のケアは、個人の健康だけでなく企業の未来にも影響する」この5カ年計画が示すことは、単なる「子育て支援」を超えたものだ。少子高齢化という大背景の中で、「プレコンセプションケア」という概念は、個人の健康と企業の人材戦略を結びつける架け橋となっている。

仕事に関する気づき:

  • 健康管理は労働生産性に直結する
  • 福利厚生制度は人材採用の強力な武器になる
  • 社員のライフプランに寄り添うことはエンゲージメント向上につながる

人生への示唆:

  • 自身の健康状態と生殖能力を定期的に見直す習慣を持つ
  • 必要な情報は早めに取得し、適切な時期に行動する
  • メディカルチェックや生活習慣の見直しは「妊娠のためだけ」ではなく「健康管理のため」と捉える

現代社会において、「妊娠前のケア」という言葉が持つ意味は、単なる生物学的な関心を超えている。それは、企業の社会的責任と個人の健康意識を結びつける新しい概念だ。

プレコンセプションケアは、日本企業が今後直面する少子化という課題に対して、新たな解決策の一つとして注目されるべきだろう。

「産む・産まない」の二択ではなく、「健康で安心して生活できる環境づくり」こそが本質的なテーマである。企業も個人も、その観点で考え直す必要があるのだ。

少子高齢化という社会課題に対し、プレコンは企業の競争力維持と個人の健康増進を両立させる鍵となる取り組みだ。まずは理解を深め、必要に応じて導入を検討することが重要と言えるでしょう。

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